企業型確定拠出年金で買うべき投資商品と知っておくべき基礎知識とは

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今度、会社で確定拠出年金の説明会があるんだよね

友人は、上場企業に勤めています。

会社で今度、投資勉強会もあるんだけど、どういうことかわかる?

友人は、なんのことやら全く解らないようです。

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最近企業は、企業年金制度を、「確定給付年金(DB)」から、「確定拠出年金(DC)」へシフトしているのがトレンドとなっています。

これは、退職金制度の中身が変更になるということをいっています。
当たり前ですが、大変重要な変更です。

退職金というのは、勤続年数と役職により、あらかじめ算定され保証されるものでした。
これが従来の「確定給付年金」の制度です。

「確定拠出年金」は、退職金の元金は会社が出すので、自己責任で運用して、退職金の積立てを自分でしてくださいという制度です。

つまり、自分の老後は、自分で考えてください、といっているわけです。

ただ、「確定拠出年金」は、半強制的に投資を行うことになりますが、当然メリットもあります。

ここでは、年金制度も投資についても初心者の方向けに、サラリーマン私がわかりやすく「確定拠出年金」の解説をします。


目次

公的年金と私的年金(企業年金)

まず、「確定拠出年金」を説明する前に、年金についての説明をします。

年金というのは、三階建てになっており、公的年金と呼ばれる「国民年金」と「厚生年金」、そして公的年金に上乗せする形として、私的年金と呼ばれる「企業年金」や「iDeCo」があります。
サラリーマンの公的年金の受給平均額(国民年金+厚生年金)は、約14.5万円/月といわれています。
引用元:厚労省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

公的年金の受給開始年齢は、原則65歳です。
企業年金は、公的年金とは別建てになっているもので、原則60才から受給できます。
いわゆる退職金と思ってよいと思います。
この退職金を、一度に受給するか、年金として受給するかは選択できるようになっています。
一部を退職金として、残りを年金として受給することも可能です。

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企業型確定拠出年金とは?

「確定拠出年金」は、自分で毎月投資商品を買付け、退職金の運用をする制度です。

投資次第では退職金を増やすことも可能になる一方で、元本割れのリスクもあります。
そこで、会社は「確定拠出年金」についての説明会、投資についての勉強会を開催しています。


確定拠出年金の種類

私的年金には、「確定拠出年金」と「確定給付年金」があります。
ややこしいのですが、「確定拠出年金」には、2種類あり、個人型が「iDeCo」で、企業型が「確定拠出年金」です。

正確には、iDeCoは「個人型確定拠出年金」、会社がおこなうのが「企業型確定拠出年金」です。
年金用語は名称が似ているので、とても混乱してしまいます。

今回は、iDeCoについての説明は割愛し、企業年金である「企業型確定拠出年金」について説明します。


確定拠出年金と確定給付年金との違い

さて、退職金の話です。
そもそも、退職金というのは運用によって捻出されています。

「確定拠出年金」は、個人(社員)が、掛け金を積立てて運用します。
リスクを負うのは個人です。


「確定給付年金」は、会社が資金運用をしてくれます。
リスクを負うのは、会社です。

従来、日本の企業の大半がおこなってきた企業年金制度がこの「確定給付年金」です。

「確定拠出年金」は、毎月の掛け金(拠出)は確定しているが、退職金額が不確定になります。
つまり拠出が確定しているので、確定拠出です。

一方、「確定給付年金」は、退職金額はあらかじめ勤続年数、役職により決められています。
万が一、会社が運用に失敗したとしても、会社が補填し、決めた退職金は支払われます。
つまり、給付する退職金が確定しているということです。
よって、確定給付です。

社員にとって安心なのは、「確定給付年金」になります。
繰り返しですが、「確定拠出年金」は会社が将来のことは、自分で考えてください、といっている制度です。


確定拠出年金のメリット

  1. 確定拠出年金の投資をおこなう掛け金は、会社が用意してくれます。

    用意はしてくれますが、掛け金がいくらなのか、妥当な金額なのかは、確認が必要です。
    結果、単なる給与削減になっているようでは問題だと思います。
    ちなみに会社が用意した掛け金に、自分で上乗せし投資をおこなうことをマッチング拠出といいます。

  2. すべての人に該当しませんが、転職をしたとき、積立てた運用資金は、転職先でそのまま引き継いで運用することができます。

    「確定給付年金」の場合、会社を辞めればその時点で退職金が支払われます。
    そして、転職先で一から退職金の積立てをおこなう、ということになります。
    「確定拠出年金」の場合は、働く場所に関係なく、転職先の会社でも退職金の運用をそのまま継続し、運用することが可能です。

  3. 「確定拠出年金」での投資商品の利益は、非課税です。

    通常、投資で得た利益には、約20%の税金が課税されますが、「確定拠出年金」の投資で得た利益は、非課税になります。
    ちなみに、いわゆるNISAもこれと同様に、投資で得た利益が非課税になる制度です。

  4. 「確定拠出年金」には、節税効果があります。

    毎月の掛け金が、所得控除になるので納税額を減らすことができます。
    実は、会社も社員の掛け金を控除にできるので、会社にとっても節税効果が見込めます。

    控除については、所得税を例にもう少し説明します。

    所得税とは、(給与所得-控除=課税所得)、この課税所得に、税率を掛けて算出されます。
    つまり、控除が増えれば、課税所得が減り、結果、所得税が減額になります。
    控除を増やすことが、節税になるわけです。

    参考までにいうと、サラリーマンの所得税率は、大まかに収入の2割~3割になります。
    サラリーマンの所得税率は年収によって変わりますが、仮にここでは2割とします。
    「確定拠出年金」による投資を毎月5万円しているのなら、控除額は、5万円×20%=1万円です。つまり、1万円分所得税が減額になります。
    会社が用意してくれたお金で投資をし、手取りは1万円増えるということです。

    よって、「確定拠出年金」による投資は、所得税を減らすという節税対策を生みます。「確定拠出年金」の大きなメリットです。


確定拠出年金での注意点

繰り返しですが投資への掛け金は、会社が用意してくれます。
しかし、
会社が、用意した掛け金を単に給与として上乗せでもらうことは、損になります。
前述のとおり、会社が用意した掛け金は、そのまま投資に回したほうがおトクです。
掛け金が、控除になるからです。

給与としてもらうことは、退職金の前受領になります。
しかも本来は、この掛け金で投資商品を買うことは控除(節税)につながる行為になるところ、給与として受領すると、控除どころか所得税を増やす行為をしていることになってしまいます。
よって、給与として前払いは受けず、会社の案内に従い、紹介された投資商品を買付けてください。

また、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」との併用は、会社の規定によります。
併用禁止している場合は、「企業型確定拠出年金」への移管が必要になります。

移管については、会社から案内もあるでしょうし、詳しくは会社に問い合わせるとよいでしょう。


どんな投資商品があるのか?

「確定拠出年金」で、会社から紹介される投資商品は、限られています。

投資商品を紹介してくれるのは、会社が契約している外部の証券会社だったりもします。
退職金、年金の運用の意味合いから、紹介されるのは比較的安全でローリスクな優良商品です。
多くても、せいぜい30、平均的には15前後の商品から選ぶことになります。

種類は大別すると、

  • アクティブ
  • インデックス
  • バランス
  • 定期預金

となります。
ひとつひとつについては、長くなりますので別の記事で紹介しますが、

リスクは、定期預金 < バランス < インデックス < アクティブとなります。
利回りは比例して、定期預金 < バランス < インデックス < アクティブとなります。


平均的には、おそらくバランス型かインデックス型の投資商品を中心に、買い付けする人が大半になると思います。


退職金の用途で投資商品を決める

退職金の積立て運用をするわけですから、退職金の用途を考える必要があります。
退職金の用途がなにかによって、リスクの取り方は変わるからです。


例えば住宅ローンは退職金で返済する予定、子供の教育資金で使う予定など、絶対に必要な資金として退職金を考えているなら、リスクは最小限に抑えなければなりません。
一方で、退職金は、公的年金の上乗せとしてだけ考えているのであれば、多少のリスクをとってもよいかもしれません。
そもそも自分の資金に余剰があるかないかでも、リスクの取り方は人により異なります。

結果としては、ローリスクの商品であるバランス型かインデックス型を、選択する方が多くなると思います。



会社の想定利回り率を確認する

通例、会社は年利2.0%前後で退職金運用を想定しています。
想定利回り率というのは、会社が資金運用をしていた場合、支払わなければならない退職金を確保するにために、必要な利回りのことをいいます。

つまり、想定利回り率が2.0%で設定されているならば、年利2.0%超の投資運用がおこなえれば、会社が想定した退職金より多く退職金がもらえます。
年利2.0%未満の投資運用になっていたら、本来もらえていたであろう退職金より少なくなってしまいます。

まず、会社が想定している利回り率を確認しましょう。
そして、投資商品の実質利回りを確認し、投資商品を選ぶのがよいでしょう。


おすすめの投資商品は?

預貯金額や、すでに投資商品を保有しているかどうかでも、おススメの投資商品は異なります。
繰り返しですが、人によりおススメの商品は異なります。

とはいえ、投資自体がはじめてで、預貯金に余裕があるわけでもないということであれば、高リターンではなく、会社の想定利回り率、例えば年利2.0%超で安全に運用できるものを選びます。

つまり、債権を中心としたバランス型ファンドを買付け、運用をするというのが最適解となります。
少しリスクをとっても、利回りを稼ぎたいと思うのであれば、インデックス型になります。

ざっくりですが、長期でみてバランス型で平均年利3~4%、インデックスで平均年利6~7%に落ち着くといわれています。

バランス型もインデックス型も、投資商品の中では、ローリスクな商品です。
いずれにせよ、案内された商品の実質利回りを確認し、選択するとよいでしょう。


バランス型ファンドとは?

運用のプロが、比較的リスクが低い債権を中心に、株式も買付けをおこないます。

また範囲は国内、国外へ複数の市場へ買付けをおこなうことで、広く分散投資し、利回りを得る商品です。
広く分散投資をしているため、リスクも分散されています。
バランス型の商品のポートフォリオを確認することで、債権の比率、株式の比率、国内の比率、国外の比率が確認できます。
通常、債権の比率が高ければリスクは低く、利回りはその分、低くなる傾向になります。


インデックスファンドとは?

バランス型ファンドより少しリスクを取り、少し利回りを狙うのであればインデックスファンドとなります。
インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIXといった、特定の指数の動きに連動するように運用することを目的にしている商品です。
運用のプロが、特定の指標を構成する銘柄に分散投資することで、利回りを得る商品になります。

例えば、日経平均株価のインデックスファンドであれば、日本を代表する225社に、運用のプロが分散投資をします。
ざっくりですが、日経平均株価が上がっていれば、その商品も上がってるということになります。

インデックスファンドであれば、米国株式を中心とした商品か、全世界型がおススメです。
インデックスの中でも、過去実績があり、長期的にも上昇するといわれている銘柄だからです。

↓ インデックスファンドについては、コチラでも解説しています。


まとめ

  • 「確定拠出年金」は、退職金の運用を自分の責任で行うことです。
    ほぼ強制的に社員に投資をさせる制度になります。

  • 運用によって、想定する退職金より増えることもありますが、減るリスクもあります。

  • 「企業型確定拠出年金」は、投資の掛け金を会社が、用意してくれます。

  • 確定拠出年金のメリットは、控除になるため、節税効果があることと、運用利益が非課税なことです。

  • 会社が用意してくれた掛け金を、給与として前受領することは、損です。

  • 購入する投資商品は、比較的ローリスクのバランス型ファンドか、インデックスファンドがおススメです。

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