【考察】NISAは非課税期間5年満了後ロールオーバーするべきか?

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一般NISA口座は、非課税期間5年満了後はどうなるんですか?

一般NISA口座で投資運用をしている友人から訊かれました。

ロールオーバーといって、延長することは可能だよ。

NISAとは、正式名称を少額投資非課税制度といい、投資益にかかる約20%の課税が非課税になるお得な制度です。

2024年には、現行から新NISAとなることが決まっており、一見、制度自体がまた複雑になるようにも見えます。

ここでは新NISAの解説は、別でさせて頂くとし、今回は一般NISAの延長(ロールオーバー)はするべきなのか?について、自分なりの考察をお伝えしたいと思います。

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目次

一般NISA口座と、つみたてNISA口座の非課税期間

おさらいになりますが、一般NISA口座と、つみたてNISAの口座は、非課税期間が異なります

  • 一般NISA口座     5年
  • つみたてNISA口座  20年

NISAが開始されたのは、2014年1月からです。
開始間もなくNISAを始めた方は、すでに5年満了の経過を踏んでいるわけですが、人気の出始めた、2016年、2017年あたりにNISAを始めた多くの方は、2021年、2022年に満了を迎えることになります。
私の友人も、2022年に5年の満了を迎えるため、質問があったわけです。

 NISAについて詳しく解説しています


非課税期間満了時の選択パターン

満了時の選択としては、3パターンがあります。

  1. 利益を確定させて、非課税の恩恵を受け売却をする。
  2. 金融商品を、一般NISA口座から、特定口座または一般口座へ移管する。
  3. 更に5年の延長手続きを行う。(ロールオーバー)

どの選択がよいのでしょうか?

それは、人によります。
金融商品の状況(すでに得をしているのか、これから得をしそうなのか)、何を目的にその投資をしているのかで、選択するべき最適解は変わるからです。

「どういうことか?」
これについては、後述します。

また、現行NISAは2016年に新NISAとして、制度が改変されるため、なおさら、最適解は、意見が分かれるところにもなります。

 一般口座と特定口座の違いについて解説しています


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ロールオーバーの仕組み

非課税期間を延長することをロールオーバーと言います。

尚、ロールオーバーは、現在口座開設している証券会社でしか行なえません。
もしロールオーバーをしたい場合、自身で手続きをすれば、一般NISA口座で継続し金融商品を保有することができます。
手続きを行わない場合は、自動的に特定口座、または一般口座へ移管されます。

ただ、ロールオーバー(延長)の最初の1年は年間の投資上限枠に、制限がかかります。
一般NISA口座の年間投資上限枠は、120万円です。
ロールオーバーの最初の年は、その年間の投資上限枠を、延長する金融商品の時価分で使うことになります。
つまり、ロールオーバーする金融商品の時価が、その時点で120万円であれば、その年の投資上限枠は0円となります。
時価が100万円であれば、20万円までが投資できる上限額となります。

翌年は、リセットされ通年通り年間投資上限枠120万円まで投資が行えます。


ロールオーバーの注意点

この最初の年に、最悪で1円も投資ができないのは、結構な損失機会だと思います。
特に上限枠まで毎年投資をしていた方や、保有金融商品が上げ気配の場合は、なおさらです。

この機会損失を生むくらいなら、ロールオーバーせずに、利益が出てる時点で、売却したほうがよい。
または、特定口座へ移管して金融商品へ投資継続したほうが、売却時に課税されても実額では利益が出ると論じる人もいます。


新NISAは2024年から開始

事をややこしくさせるのに、2024年に改変される新NISAの制度開始があります。

NISAはまだ、発展途上の制度だと言われています。
いずれは、非課税期間を設けず恒久的な制度へ向かうだろうとも言われています。
制度の改変が、今後も起こるのであれば、ロールオーバーをして様子を見ても良いと考える人もいます。


将来のために缶詰をコツコツ貯めた男性の逸話

ひとつの逸話があります。

それは、将来のために缶詰をコツコツ貯めた、ある男性の話です。

その男性は、毎月缶詰が貯まっていくこと自体が嬉しくて、毎日のように缶詰を眺めていました。
毎月の生活費から、コツコツと缶詰を買っては保管していたわけです。
その男性は高齢になり、長寿を全うして、死ぬのですが、結局、缶詰は一つも開けずに、死んでしまいました。
コツコツとたくさん貯めた缶詰は一つも開けることはありませんでしたが、缶詰を毎日のように見ることがその男性にとっては、とても幸せなことでした。

その男性の缶詰への投資は正しかったのか?

という、話です。

これには、たくさんの意見があるわけですが、その男性が、貯めた缶詰を見ることはとても楽しいことで、幸せだったことは間違いありません。

投資とは、「何を目的にしているのか?」という話です。

投資というのは、お金の考え方といいますか、価値観といいますか、哲学的要素があるように思います。
そもそも、お金は使うものだという人もいれば、倹約をし増やすことに傾注する人もいます。

いずれも、間違いではありません。

そして、なによりも重要なことは、前提として投資は、貯蓄とは異なるという点です。
元本が割れる可能性は、ゼロではありません。


何のためにその男性は缶詰を貯めたのか?

その男性は、「将来のために」という漠然とした目的で、缶詰にコツコツと投資していました。
なので、いつまでという期限も設けなかったし、ある個数に達成したら、定期的に少しづつ缶詰を空ける、ということもしませんでした。
しかし、繰り返しですが、その男性は幸せだったのです。
その男性にとっては、投資をして貯まる缶詰を見ることが幸せになっていました。
投資をすること自体、つまり貯蓄をすることが目的になっていたわけです。
私は漠然と貯蓄をすることを目的にすることに否定はありません。
この男性のように、幸せと感じて、無理なく貯蓄できていたならそれはそれでよいのでは、と考えています。

一方で、貯蓄は手段であって、目的ではない、と論じる人もいます。
また、目的とともに、目標を設けるべきだという人もいます。

至極正しい意見です。

お金は、使うためにあるものだということです。
漠然とお金を増やしたいというのは、目的ではない、ということを言っています。
投資というは、そこで得た収入、つまりお金を使う目的があってこそ、投資たるものだということです。
もしくは目標となる金額があり、その金額に達した時点がゴールという考え方です。

よって、投資に対して期限、期間もある程度設定ができるだろうし、切り崩しや、損切り、また売却も目標があるからこそ、行動を起こしやすいというわけです。

この意見も、私は賛成です。もっともだと思います。


NISAのロールオーバーはするべきなのか?

さて、一般NISAで貯めた投資商品は、ロールオーバーするべきなのでしょうか?
繰り返しですが、するべきか否かはその人の投資目的によりますし、その人のお金に対する考え方にもよります。


1つ目のパターン

その投資に、具体的な目的というか目標額、つまりお金の使途が決まっているのなら、利益が出ている時点で、売却するという選択がよいと思います。
もともと、NISAの非課税期間は5年とわかっていたことなので、利益がでているなら売却する。
投資というのは、将来下がる可能性がゼロではないので、利益が出ているなら売却する、ということことが確実に良いわけです。
これが、一つ目のパターンです。


2つ目のパターン

ロールオーバーした最初の年は、投資枠に制限がかかり投資枠、120万円をフルに使うことができません。
これを機会損失ととらえ、特定口座に移管して投資を継続するというパターンです。
これには、リスクもあり課税分を考慮しても、実額で利益が上回る必要があります。
また、もし投資商品が値下がりした際、その時点で売却をすれば、課税もされるし、値下がりもしているしと、ダブルで損失が発生します。
保有している金融商品が、これから上がる見込みがあることと、多額の投資を行いたい場合は、特定口座への移管がよいのではと思います。


3つ目のパターン

最後のパターンが、ロールオーバーをする、という選択になります。
これは、NISAへの投資が、漠然とした貯蓄目的である場合です。
また、非課税期間満了時には含み損がでており、経年経過で上がる可能性を待つということでも、ロールオーバーが選択となります。

そして、新NISAの開始があります。
将来的にみて、NISA制度は改変するだろうと言われていますので、ロールオーバーして、様子を見るという理由で、ロールオーバーを選択することもありだと思います。

いずれにせよ、どのパターンがよいかの絶対解はありません。
自分でリスクを考えて選択する必要があります。


まとめ

  • 一般NISA口座の非課税期間が満了になった際、どうするべきかの絶対解はありません。

  • 前提として、投資は厳密には貯蓄ではありません。

  • 究極的には、利益が出ている時点で売却することが確実に良いです。なぜならどんな投資も下がる可能性があるからです。

  • 1つ目のパターン
    利益がでているなら売却する。

  • 2つ目のパターン
    これからその金融商品が、上がる見込みがあることと、多額の投資を行いたい場合は、特定口座への移管する。

  • 3つ目のパターン
    含み損が発生している場合、または長い目で貯蓄として金融商品を考えている、そして、NISA制度が改変していくことも勘案してロールオーバーする。

  • いずれのパターンも、自分自身でリスクを勘案して、自己責任で、選択する必要があります。

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