J-POPではなく、「歌謡曲」といわれていた頃の日本のポップス。
70-80年代は、J-POPではなくて、「歌謡曲」という言葉がピッタリきます。
いまから40年近くも前の作品なのに、全く色褪せず、今聴いても飽きない。
今日は、一風変わった歌謡曲から、定番曲、ずば抜けてハイセンスな曲まで13曲を独断でセレクトしてみました。
音楽好きであれば、今あらためて聴いて欲しい名曲ばかりです。
お気に入りのプレイリストになること請け合いですよ♪
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目次
「時代遅れの恋人たち」 中村雅俊
1978年リリース
作詞:山川啓介 作曲:筒美京平
ドラマの主題歌としてA面シングルカットされた曲。
作曲は、筒美京平。
言わずもがな、昭和の神メロディーメーカーです。
バンジョーを多用しているので、普通は、もろカントリー調になるところです。
しかしカッコ良いギターのカッティングと、緩急ついたストリングスが混ざることで、曲そのものは、カントリー調が薄れます。
やはり、ジャンルはカントリーではなく「歌謡曲」ということに落ち着きます。
ギターソロもAORっぽくて、ハイセンスでカッコ良い。
青春をモチーフにした歌詞は何かキュンときて、Goodです。
「林檎殺人事件」 郷ひろみ&樹木希林
1978年リリース
作詞:阿久悠 作曲:穂口雄右
当時、人気を博したTVドラマ「ム一 一族」の挿入歌としてリリース。
共演者である、樹木希林とのデュエットとなっており、ひっそりと控えめに歌う樹木希林の声がユニゾンでかぶります。
全体に独特な不思議な雰囲気を感じさせながらも、バックの演奏によりグルーヴ感のあるノリの良い仕上がりになっています。
ベースは、うねうねと動き回り、ギターのカッティングもリズムをカッコ良く刻みます。
特に曲中盤で入る短いベースソロは、洋楽並みの超絶プレイ。
ストリングスはとてもキレイで、ブラスも絢爛さ全開です。
そして、阿久悠の歌詞はとても斬新でトリッキー。
TVドラマ「ム一 一族」自体もですが、あの当時のサブカルチャー的な要素を感じさせます。
しかし、郷ひろみって、やっぱりレジェンドですね。
あらためて、歌が本当に上手だなと実感させられる1曲。
「シンデレラ・ハネムーン」 岩崎宏美
1978年リリース
作詞:阿久悠 作曲:筒美京平
昭和歌謡のゴールデンコンビによる楽曲です。
編曲も筒美京平。
筒美京平の編曲はあざとくなく、歌謡曲の王道です。
オーケストラ的にストリングス、ブラスの伴奏が耳心地良い。
そのオーケストレーションの中で、ギターの音色が随所にアクセントとして挿入されています。
ただあくまでも、メインは岩崎宏美のボーカルで、伴奏は裏方に徹し、出しゃばってはきません。
岩崎宏美の声色は艶やかで、そして、本当に上手です。
すこーしウェットで、濡れた声の質感が官能的でもあり、歌声に惚れてしまう。
そんな岩崎宏美の凄さ、素晴らしさを実感できる1曲。
「ロンリー・ハート」 クリエイション
1981年リリース
作詞:大津あきら 作曲:竹田和夫
TVドラマの主題歌として、リリース。
クリエイションは、竹田和夫率いる5人編成バンド。
ボーカルは、ロック界の重鎮といわれたアイ高野。
昭和歌謡の中では、一線を画していて、すこーし背伸びした大人の歌謡曲という様相です。
昭和歌謡にありがちな、オーケストラ的なアンサンブルではなく、いわゆるバンド曲。
ストリングス、ブラスなどはなく、しっかりとバンドとしての演奏を堪能できます。
そこはバンドマン、演奏はみな一流で、アイ高野の少し鼻がかった独特な声色がマッチしています。
情景は私としては、当時の洗練された俳優、松田優作や沖雅也が何故か浮かぶんですね。
つまり、この曲は洒落ていて、カッコ良いということです。
「雨音はショパンの調べ」 小林麻美
1984年リリース
日本語訳詞:松任谷由実 作曲:P.Giombini
原曲は「I Like Chopin」Gazebo。
洋楽カバーでは珍しく、イタリアの曲のカバーになります。
編曲は、原曲をほぼそっくりそのままカバーしています。
雨を情景としていて悲しげでもあり、切なくもあり、終始流れるシンセの音色は、当時のディスコチークな様相を感じさせる名曲。
それは、懐かしさにも通じます。
ピアノの音がアクセントで随所に挿入されていて、雨音そのものとして、滴り落ちている情景です。
そして、小林麻美のアンニュイで囁くような歌声。
歌声がこの曲に、見事にはまっています。
物憂いな雨の日には、ピッタリはまる1曲です。
ちなみに、あまり知られていませんが、日本語訳は松任谷由実です。
「木綿のハンカチーフ」 太田裕美
1975年リリース
作詞:松本隆 作曲:筒美京平
言わずと知れた、昭和歌謡の金字塔。
歌詞が小説仕立てになっており、恋仲の男女の心情を交互に綴る歌詞は、今なお斬新です。
その悲しくて切ない歌詞に、太田裕美の柔らかくて優しい声色が乗っています。
ストリングス、ギターが軽快なのに、曲全体としてはどこか悲しげで切ない。
そして、前にでない、ひっそりとしたコーラスは絶品で耳心地が最高です。
カバーをしているアーティストも数知れず。
延々と繰り返されるフレーズは歌詞と編曲により、今なお全く飽きがきません。
すごい楽曲です。
「襟裳岬」 森進一
1974年リリース
作詞:岡本おさみ 作曲:吉田拓郎
フォーク全盛期の黄金コンビによる楽曲を、森進一が歌い上げています。
その意味からは演歌ではなく、吉田拓郎の独特の四畳半的なフォーキーさが感じられる昭和歌謡。
イントロのトランベットが、襟裳岬の厳しい寒さをよく表しています。
この寒すぎる情景にマッチした、森進一のハスキーボイスがなんともうら悲しい。
一方で、森進一の声はとてもソウルフルで、熱量があります。
声の強弱、緩急、そして伸びていくそのビブラートと、森進一は演歌界のレジェンドです。
森進一の熱量の凄さが、感じられる1曲。
「ブルー」 渡辺真知子
1978年リリース
作詞・作曲:渡辺真知子
マイナー調の曲調に、素晴らしい渡辺真知子のボーカルが際立ちます。
超絶上手い歌手で、これこそボーカルの本流、王道です。
そして、とにかくメロディーが本当に素晴らしい。
メロディーで涙がポロリとでてしまうほど、耳にばっちりと残る、メロディラインです。
渡辺真知子も昭和歌謡のメロディメーカーで、この曲は本人の代表曲になっています。
イントロから終始入る、ハープシコードが悲しさ、孤独を増幅させます。
そして情感あるストリングス。
控えめに合間を刻むギターには、グルーヴも感じられます。
冬の寒い海岸で孤独に佇んでる。
そんな情景がピッタリはまります。
海のイメージはもちろん日本海ですね。
「哀愁でいと」 田原俊彦
1980年リリース
作詞・作曲:Andy Ditaranto、Guy Hemric
原曲はレイフ・ギャレットの「NEW YORK CITY NIGHTS」。
プロデュースは、ジャニー喜多川。
なぜこの曲をカバーしようと、ジャニーさんが考えたのはわかりませんが、本曲は、田原俊彦の最大のシングルヒット曲になっています。
ニューヨークといっても、イメージするキラキラ感はなく、キラキラというよりは、「ギラギラ」しています。
ギターの音色がギラついているので、都会の雑多さみたいなイメージがしっくりきます。
日本語詞は、小林和子。
「でいと」を平仮名で使うところに、センスを感じます。
ちなみに、私は原曲よりもトシちゃんバージョンのほうが断然好きです。
若かりしトシちゃんの初々しさに加え、音色はギラついていて、サビには疾走感があります。
これぞ、昭和歌謡です。
「まちぶせ」 石川ひとみ
1981年リリース
作詞・作曲:荒井由実
ユーミンの楽曲で、後に自身でもセルフカバーしています。
編曲は、松任谷正隆。
ユーミンの作るメロディアスな楽曲に、松任谷正隆の洗練されたハイセンスの編曲が、素晴らしくマッチしています。
桜が散る季節、街角の喫茶店で、失恋したての少女がひとり紅茶を飲んでいるような情景。
ハープシコードの使い方が、渡辺真知子とは対照的で、悲しげの質が違います。
本当の意味での孤独ではなく、終わった恋愛にまだあきらめてはいない強い意志、もしくは恋自体に感謝をしているような、そんな質感が感じられます。
楽曲は、美しいストリングスと、石川ひとみの歌唱力が際立ちます。
ストリングスを多用するのは昭和歌謡の特徴でもあります。
松任谷正隆の凄いところになりますが、この曲はストリングスの使い方のお手本と言えると思います。
「眠れぬ夜」 西城秀樹
1980年リリース
作詞・作曲:小田和正
昭和のレジェンドバンドである、オフコースのカバー。
原曲も素晴らしいのですが、この西城秀樹バージョンも味があり私は大好きです。
小田和正とは対照的に、ハスキーがかった西城秀樹の声色が、青春のやるせなさみたいなものを感じさせます。
小田和正のメロディーは絶対的に素晴らしくて、胸にキュンときます。
Aメロとサビという、一見単調なシンプルなコード進行です。
その繰り返されるフレーズはバックの演奏を微妙に変化させ、メロディーが絶対的に素晴らしく良いので飽きがこない。
ずっと、メロディが頭の中でリフレインする昭和歌謡の名曲。
「みずいろの雨」 八神純子
1978年リリース
作詞:三浦徳子 作曲:八神純子
完成度の高い楽曲です。
見事なオーケストレーションで、音の厚みが圧倒的。
八神純子の声色もパートにより、声の厚みに変化があり、中盤から入るギターソロもカッコ良い。
なにより、八神純子の太い声量と、上手すぎる綺麗なビブラートは圧倒的です。
声も演奏もすべてにおいて、圧倒的。
曲はサンバ調であり、随所にサンバならではの音色が入ることで、曲の迫力が増していきます。
これだけサンバなのに、サンバっぽく聴こえない。
サンバだけど情景は雨なわけです。
サンバなのに、カラッとしておらず、湿っぽく、ウェットな純和風。
この湿っていて、ウェットというのも昭和歌謡ならではです。
「銀河鉄道999」 ゴダイゴ
1979年リリース
英語作詞:奈良橋陽子 日本語作詞:山川啓介 作曲:タケカワユキヒデ
同名のアニメ映画の主題歌として、シングルカット。
編曲は、ミッキー吉野です。
情景は、アニメそのもの、夢と希望を乗せた宇宙列車。
これから始まる壮大なストーリーをワクワクさせるに十分な、軽快なアップテンポの1曲。
ミッキー吉野の叩きつけるようなキーボードソロ、疾走感のあるドラミングも聴きどころ。
そして、メロディーがやはり絶対的に素晴らしい。
聴く人にいつも勇気をくれる昭和歌謡の名曲中の名曲。
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