フュージョンというと、少し敷居が高いイメージがあるかもしれません。
フュージョンと言っても、曲の印象は様々で、ファンク色の濃いものや、ジャズ寄りのもの、テクノ寄り、ブログレ寄り、ロック寄り、ディスコ寄りと、まさにクロスオーバー(垣根を越えた・越境)。
様々に入り乱れ、玉石混交なのがフュージョンです。
その多種多様さが魅力でもあります。
しかし、最大の魅力はその技巧、高度なテクニックにあります。
いずれも究極のテクニックを駆使し、人間が成し得る最高の演奏、名演が堪能できます。
今日は、そんなフュージョンを毎度のことながら、独断で11曲ご紹介します。
クロスオーバー感は、多種に渡り、ごった煮感は否めませんが、有名な定番曲から、ポップでキャッチーな曲までセレクトしてみました。
じっくり聴くのもよし、作業用BGMとして、またはフュージョンを聴いたことがない方でも楽しめるプレイリストです。
是非、究極のテクニックを堪能してください。
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目次
- I Did It In Seattle Roy Ayers
- Room335 Larry Carlton
- Spring Rain Bebu Silvetti
- Captain Caribe, Get Away Lee Ritenour
- Minuano(Six Eight) Pat Metheny Group
- Just Around The Corner Herbie Hancock
- Love The Stuff / Ain’t No Mountain Hight Enough Stuff
- Birdland Weather Report
- Spirit Of The West Yellowjackets
- Strokin’ Richard Tee
- Fairy Tales The Crusaders
I Did It In Seattle Roy Ayers
ロイ・エアーズのビブラフォンが、艶やかでキラキラしています。
その音色はとても柔らかくて、本当に耳触りが良い。
ジャズ・ファンクの生みの親とも言われています。
曲はミドルより若干スローなテンポで、ゆったりと心地よくのれる名曲。
当時は未発表だったらしく、未発表曲名だけを集めたアルバム「Virgin Ubiquity: Unreleased Recordings 1976-1981」に収録されています。
ちなみにこのアルバム、未発表曲ばかりを集めていますが、こんなにも素晴らしい曲がなぜ未発表なのか??
よくわかりません。。
曲感は、ソウルでメロウ。
そしてベースのうねりによって、ファンクな要素もある1曲。
ロイ・エアーズのビブラフォンに、呼応するかのようなそのベースはとてもグルーヴィです。
ビブラフォンという楽器の素晴らしさが、堪能できます。
Room335 Larry Carlton
1978年リリースのアルバム「夜の彷徨い」に収録。
フュージョンの定番中の定番曲です。
なんと言っても、ラリー・カールトンの超絶プレイが魅力。
ラリー・カールトンのギタープレイは超絶上手く、いま聴いても素晴らしくカッコ良い。
伴奏するギターカッティングの音色も絶妙です。
曲名の由来にもなっている、本曲の使用ギターはギブソンのES-335。
ラリー・カールトンの代名詞にもなっているギターです。
そして、ドラムはTOTOのリーダーである、ジェフ・ポーカロ。
ポップで軽快なサウンドが特徴で、思わず体が動いてしまう名曲です。
Spring Rain Bebu Silvetti
1975年リリース
フュージョンではないかもしれませんが、セレクトしました。
音楽好きであれば、聴き覚えのあるピアノのコード進行。
電気グルーヴの「Shangri-La」が、サンプリングしていることでも有名なこの曲。
シルヴェッティは、アルゼンチン出身のピアニストです。
ストリングスの使い方は、雄大さがあって空が似合います。
そして、アタック強めのピアノのエコーの感じも、絶妙で良い感じ。
美しい旋律とは裏腹に、うねりのあるベースがグルーヴ感を出しています。
ワンフレーズを繰り返し反復することが特徴ですが、不思議と飽きがきません。
ディスコやクラブでもヘビーローテーションになっていた、有名なインストルメンタル。
Captain Caribe, Get Away Lee Ritenour
1977年リリース
リー・リトナーのギタープレイが冴えわたるフュージョンの定番曲。
曲はキャッチーなメロディラインの前半と、技巧を凝らしたセッション的なパートの後半にきれいに分かれます。
ギロという珍しい楽器を随所に使っており、リズムによいアクセントを与えています。
前半は、伴奏にしっかりとピアノを多用し、後半はうっすらと裏で微妙にシンセを使っているあたりも絶妙。
なので、エレクトロ感というものがなく、全て人の手による生の演奏がこの曲の醍醐味になります。
リー・リトナーのギタープレイは、もちろん言うことなしの感動モノの超絶プレイです。
そして打楽器はドラムだけではなく、パーカッションを多用しています。
南国とまではいきませんが、曲調が冷たくなく、暖かく、明るい曲感に仕上がっています。
全て人の手による生のセッション感が、曲に暖かみを与えているんだと思います。
ちなみにベースはアンソニー・ジャクソン。
矢野顕子との共演で知られる名ベーシストです。
矢野顕子の楽曲でもその、素晴らしいベースプレイは聴くことができます。
まさに生々しい名演、これぞ名セッションです。
Minuano(Six Eight) Pat Metheny Group
1987年リリースの「Still Life (Talking)」に収録。
このアルバムは傑作と言われています。
リズムの取り方がジャズ的であり、そしてブラジリアン的な要素もあるフュージョン。
透き通るような、神秘的なコーラスが特徴的で、エコーのかかり具合が幻想的な曲感を醸します。
パット・メセニーのギターはとてもテクニカルで超絶プレイ。
音色が独特で、すぐにパット・メセニーだとわかります。
約9分半の大作で、前半3分弱はその重なったエコーコーラスがとても壮大で奥深い印象。
その後が、まさにパット・メセニーのすごさ。
バスドラム無しでのリズムの刻みは迫力を増し、ものすごい疾走感に突入します。
この増幅する疾走感は、パット・メセニー独特なものです。
圧巻で、体が自然と動いてしまう。
ちなみに、パット・メセニーも矢野顕子と共演しています。
矢野顕子も、すごいんです。
Just Around The Corner Herbie Hancock
1980年リリースの「Mr.Hands」に収録。
ファンキーで、グルーヴのあるカッコよいベース。
バーカッションはシーラ・Eです。
ファンク寄り、ソウル寄りのフュージョンの名曲。
ハービー・ハンコックのシンセは、まるで歌っているようです。
アナログシンセの音色は今聴いても、むしろオシャレ。
曲全体が、ソウルフルであり、とてもカッコ良い仕上がりです。
裏で鳴り続く、ギターのカッティングはリズムが正確で、ハービー・ハンコックのシンセは、さまざまに音色を変えていきます。
スタジオセッションの最高峰と思います。
Love The Stuff / Ain’t No Mountain Hight Enough Stuff
1980年録音。ニューヨークでのライブアルバム「LIVE IN NEW YORK」に収録。
フュージョンのスーパーバンド、スタッフです。
世界で3本の指に入るであろうドラマーのスティーブ・ガット。
そして、鍵盤を打楽器のように叩きまくる、リチャード・ティーが在籍するスーパーバンドです。
ライブバージョンは、他にも存在しますが、このアルバムのライブバージョンが、圧倒的に私は好きです。
イントロから、スティーブ・ガットのハイハットがしびれます。
最初からものすごい疾走感があり、これぞフュージョンという感じです。
人間が奏でることのできる、限界の究極セッションテイク。
リチャード・ティーの旋律は独特で、泣きのコード進行がとても素晴らしい。
何度聴いても、体を揺らしてしまう1曲。
ちなみに名曲「Just the Two of Us」のドラムはスティーブ・ガットであり、電子ピアノはリチャード・ティーです。
Birdland Weather Report
1977年リリースの「Heavy Weather」に収録。
こちらも、フュージョンでは大御所のスーパーバンド、ウェザー・リポート。
本曲は、そのウェザー・リポートの代表曲です。
エレクトリック系フュージョンという人もいて、電子楽器を多用した、その曲感はジャズ寄りです。
エレクトロな音色に、ゴージャスなブラスホーンの挿入する曲感は唯一無二です。
そして聴きどころは、ずばりジャコ・パストリアスのベースプレイ。
世界中のベーシストから、リスペクトされているレジェンド、ジャコ・パストリアスです。
決して派手さはないものの、裏で鋼のように鋭い音色が動きまくっています。
ハーモニクスという奏法を駆使し、ベースにしてはとても高い倍音の音色を混ぜながら、小刻みに旋律は動きます。
イントロの旋律は、ギターではなくベースなんです。
そもそも、この曲にはギターは不在です。
おそらく、そう聴こえないとは思いますが、弦楽器のように聴こえているのはベースです。
天才ベーシストと言われる、ジャコ・パストリアスのプレイを十二分に堪能できる、フュージョンの定番中の定番曲。
Spirit Of The West Yellowjackets
1998年リリースの「Club Nocturne」に収録。
ジャズ寄りのドラミングに乗る、メロディの主旋律はソプラノサックスです。
なんとも言えない音色です。
温かみがあり、透明感もあります。
生音楽器の演奏なので、セッション感が強いです。
やはり、生音は独特の素晴らしさがあるわけです。
伴奏のコードはどこか切なげで、小節の節々に開放感も感じられます。
フュージョンをあまり聴かない方からすると、ズシンズシンと鳴り響くバスドラムが、感じられないことに違和感があるかもしれません。
が、フュージョンの良さはそこにあります。
目立つのはハイハットです。
バスドラがなくとも、ものすごいグルーヴは作れるということです。
名曲というに足らず、名演だと思える1曲。
Strokin’ Richard Tee
1979年リリース。
スタッフのキーボード、リチャード・ティーの同題ソロアルバムに収録。
スタッフについては前述していますが、この曲のドラムもスティーブ・ガットです。
リチャード・ティーは、鍵盤を相変わらず打楽器のように叩いています。
そのコードの流れは、リチャード・ティー独特のもの。
素晴らしく綺麗なのに、激しくて、グルーヴィ。
ミドルテンポにも関わらず、とても躍動感溢れる1曲です。
また、ベースのチャック・レイニーはスティーリー・ダンのアルバムに参加しています。
そんな、一流のプレーヤー達の名演。
ちなみに、リチャード・ティーは、角松敏生の「初恋」という曲に参加しています。
Fairy Tales The Crusaders
クルセイダーズは曲感が、R&B寄りのフュージョンバンド。
ソウルフルであり、ミドルテンポながらグルーヴ感も全開です。
音質が良く、楽器それぞれの音色がキラキラと粒になって聴こえてきます。
大音量で聴きたいい1曲。
ギター、ベース、エレピ、ドラム、全てにおいて洗練されていて、お洒落。
今聴いても全く色褪せていません。
アーバンでメロウ。
夜のドライブにはぴったりハマります。
コード進行が秀逸で、なにか胸がキュンとくる曲感も特徴的です。
クルセイダーズでは、「Still Life」という名曲もあるので、ぜひそちらもおすすめします。
いかがでしたでしょうか?
あらためて聴きなおししたが、やっぱりすごい曲ばかりです。
作ったプレイリストは、しばらくヘビーローテーションになりそうです。
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